戦時下最大の言論弾圧事件とされる「横浜事件」。その端緒となった富山の地から再検証し、権力による弾圧や事件のでっち上げを繰り返させないと訴える本が4月に出版された。
横浜事件は戦時中、「共産主義を宣伝した」などとして編集者ら約60人が治安維持法違反容疑で特高警察に逮捕され、4人が獄死した。最初の獄死から今年で80年になる。
事件端緒の地では「泊・横浜事件」と呼ぶ
始まりとされるのが、1942年に政治学者の細川嘉六(1888~1962)が富山県泊町(現朝日町)の旅館「紋左(もんざ)」で開いた宴会だ。これが共産党再建準備会とされ、一連の弾圧が始まった。このため、地元では「泊・横浜事件」と呼ぶ。
本を出版したのは事件を検証してきた金沢敏子さん(73)=富山県入善町=、向井嘉之(よしゆき)さん(80)=富山市=、西村央(ひろし)さん(73)=埼玉県ふじみ野市=のジャーナリスト3人。
「泊・横浜事件」の章では…